2020年6月の絵本

【ばらいろのかさ」

「ながいながいよる」文:マリオン・デーン・バウアー  絵:テッド・ルウィン  訳:千葉 茂樹

・海辺の素敵なカフェ。店主のアデルは、トレードマークの水玉模様エプロンに髪にはバラの蕾をさす素敵な女性。みんなの人気者でした。でもアデルは雨の日になると気が沈み、なんにもやる気がなってしまうのでした。そんなある日、カフェに謎の忘れ物が続きます。それが自分への贈り物だとわかった時、アデルは大切な人の存在に気付きます。フランス映画のような美しさと場面の展開の軽やかさを味わえます。

 

 

 ・文:アメリー・カロ

・絵:ジェヌヴィエーブ・ゴトブー

・訳:野坂悦子

・出版社/福音館書店/2019年06月発行

 

 


*めめさんの心のつぶやき*

・雨は生き物にとって必要なものですが、雨の日は憂鬱な気分になりがちですね。海辺の素敵なカフェの店主アデルはその中のひとりでした。お客さんのが少なくなる雨の日は、お布団に潜り込むくらい憂鬱になってしまいます。そんなアデルを想う青年が素敵なアプローチをして雨の日にアデルを外に誘いだします。雨に濡れた草の匂い、落ちてくる雨の音がゆかいなメロディーを奏でていることに気付きます。パステルの絵に彩られた素朴な愛のストーリーに私は、フランスの海辺の片田舎を思い描きました。原書の題名は「みずたま模様のばら色」です。ピンクのばら色の表紙をめくるとみずたま模様の見返しが待っていますよ。6月の梅雨時に手に取ることをお勧めします。

【かさ

おもちのかみさま 札幌在住の絵本作家:かとうまふみ

 ・文字がなく黒い一色で描かれていますが、女の子のかさだけが赤く彩られています。ある雨の日に女の子がお父さんを駅まで向かえに行き、お父さんと一緒に家路に向かうお話です。お話が書かれていないのに色々なストーリーが聞こえてくるようです。

 

 

 ・作:絵:太田大八

・出版社 / 文研出版/2005年

 

 

 

 

 


*めめさんの心のつぶやき*

・墨色一色の絵に朱色の女の子のかさが鮮やかで目を引きます。文字がない絵本なので眺めていると自分の中にある色々な思い出やストーリーが湧いてきます。雨の日に誰もいない公園のブランコや傘を持って歩いている大人のうつむき加減な目線にはもの悲しさを感じます。でも女子の傘の朱色の一色に温かみを感じます。雨の日の駅前通りを色々なアングルから眺めることができるし、傘を持ってお父さんをお迎えにいく女子の気持ちを想像したり、見る人の心模様で多彩に楽しめる絵本です。作者の太田大八さんは1918年に生まれ2016年8月に97歳で亡くなりました。国際アンデルセン賞優良作品賞など多数受賞しています。

おかあさんとお子さんの6月の絵本

【おじさんのかさ】

【10ぱんだ】写真:岩合光昭 分:岩合日出子

・おじさんはいつも出掛ける時に立派な傘を持っています。でも、雨が降ってきても傘を差しません。なぜって、大切な傘が濡れるからです。ある日公園でこども達の「あめがふったらポンポロリン、あめがふったらピッチャンチャン」という楽しそうな歌が聞こえてきました。おじさんもつられて口ずさみました。・・・「本当かなぁ?」おじさんはとうとう傘を開いてしまいます。

 

・作・絵:佐野洋子

 出版社/講談社 発行日:1992年5月発行

 


*めめさんの心のつぶやき*

・日本の子どもたちにも大人の人にも愛されている絵本です。小学校の教科書にも載っていますね。梅雨の季節にふと久しぶりにこの絵本を手に取りたくなりました。「あめがふったらポンポロリン・ピッチャンチャン」一度聞いたら忘れない素敵なリズム。このリズムがおじさんの耳にも聞こえたのです。このおじさんのかさはおじさん自身の心模様を表していると聞いたことがあります。何がきっかけで人の心が開くかは分かりませんが、何気ない日常生活の中にほこっと聞こえてくる声やリズムにそんな力が宿っているのかもしれませんね。雨は時として大きな災害を招きます。今年は長雨が続き各地で災害が起こっています。私は一日も早い復興を願って知人が呼び掛けてくれた復興支援に参加させて頂きました

【あまがさ】

【ペンギンがとぶ】ひだのかな代

 ・モモは3歳のお誕生日に二つの贈り物をもらいました。一つは雨傘、もう一つは長靴でした。なかなか雨の日にならなくて、雨の日を待ち焦がれるモモの心模様とその度に優しく諭すお母さんの言葉がなんとも素敵です。待ちに待った雨の日、あまがさを一人で持って歩くモモはどんな体験をするのでしょうか?見返しから本当に美しい絵本です。

 

 ・作・絵:やましたたろう

 

出版社/福音館書店・1963年8月日発行

 

 


*めめさんの心のつぶやき*

・「かさ」ではなく「あまがさ」。1963年に出版され現在は絶版されている絵本です。57年前に出版された絵本なのですが、現代の絵本にはなかなか見られない色彩や構成だと思います。左ページにキャプションとイラスト、右ページは全面イラストで、見開きでは絵のスペースが大きいので自ずと絵が語っている迫力を感じます。そしてモモの成長とあまがさの存在を重ね合わせたストーリーの展開に私は、なるほど!とうなりました。子ども達は、主人公のモモの気持ちと自分の気持ちを重ねてこの絵本を純粋に楽しむのでしょうね。

みんなのおすすめコーナー

【ぼくのたび】

【おかあさんはね】文: エイミー・クラウス・ローゼンタール 絵: トム・リヒテンヘルド 訳: 高橋久美子

 ・2018年3月から「みんなのおすすめコーナー」を作りました!このコーナーでは、全国で約1000人の絵本セラピストさんの中から、私が毎月1名の絵本セラピストの仲間に1冊のお勧めの絵本を紹介してもらっています(#^.^#)

 

27回目のゲストは、群馬県前橋市在住の絵本セラピスト®「おこちゃん」野村陽子さんです。

 

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【ぼくのたび】

 ・小さな町の小さなホテル そこで働く「ぼく」。彼には夢があった。いつか大きなかばんを持って知らない町から知らない町へ、世界中から来てくれたお客さんを訪ねてみたい。ぼくのたびはいつ始まるのだろうか?

 

 作:みやこしあきこ

ブロンズ新社

 

 

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 < おこちゃんから・・・>

この本が出版された時、原画展でみやこしさんにお会いしました。絵本と同じようにとても素敵な方でした。みやこしさんがずっと、全てリトグラフだけで描きたかった絵本。モノクロとカラーのページから、旅への憧れ、旅した時の不思議な懐かしい思いが心の中にふわぁっと広がります。なかなか旅行もできない今だからこそ、この絵本を読んで旅する心を楽しんで下さい。

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◆おこちゃん(野村陽子さん)の紹介

 ・絵本セラピスト協会認定ー絵本セラピスト®TK11期

 

子ども達の通っていた幼稚園のPTAで図書室を作り、運営した事がきっかけで読み聞かせの世界へ足を踏み入れ、その後、子ども達の小学校、地域の中学校、子育て支援センターなどで読み聞かせ活動を現在も継続中、気づけば、30年余り。読み聞かせの勉強会で講師の先生の学校図書館で子ども達に本を手渡してくれる人が欲しいと言う言葉に一念発起司書教諭の資格を取り、今年の3月まで小学校の図書館に学校司書として17年勤務。
今後は読み聞かせ活動を続けながら、子ども達の読書支援活動、大人のための絵本会、絵本セラピーなどの活動の場を広げたいと思っています。
絵本セラピーとの出会いは、図書館で読み聞かせのhow to本を探している時に代表のたっちゃんの本が目の前に飛び込んできたことがきっかけ、丁度、絵本を読んで何か今までと違うと感じていた時期でこれだと思い、養成講座に申し込みをしました。

 

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*めめさんの心のつぶやき*

・今月の絵本セラピストさんは、前橋市在住のおこちゃんです。3月の学校閉鎖を機に竹内美紀さんを中心としたオンライン絵本会の活動が始まり、そこでおこちゃんと再会しました。学校司書の経験も長く知識も経験も豊富な方ですが、いつも謙虚で穏やかな語り口は周りの人を和ませ安心させてくれます。5月末までの自粛期間は、利発で可愛いお孫さんと一緒にオンライン絵本会に参加して盛り上げてくれました。コロナ禍で世界中の行き来が止まっています。なかなか旅行に行けないこんな時期だからこそと、おこちゃんが素敵な絵本を紹介してくれました。ありがとうございました。

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