2020年10月の絵本

【スーホの白い馬】

 

「ながいながいよる」文:マリオン・デーン・バウアー  絵:テッド・ルウィン  訳:千葉 茂樹

・「物語絵本はまさしく横に流れる紙の演劇だ」とは赤羽末吉さんの言葉。モンゴルの壮大なスケールを日本の子どもたちに伝えたいと2年以上の時間をかけて1967年出版された「スーホの白い馬」。モンゴルの楽器、「馬頭琴」の由来となった少年と白い馬の切なく悲しい物語。

 

 ・作:大塚勇三・絵:赤羽末吉

・出版社/福音館書店/1967年10月発行

 

 

 


*めめさんの心のつぶやき*

・2020年10月コロナ禍が少し落ち着いた頃、静岡市美術館で「絵本画家・赤羽末吉生誕100年没30年記念展・『スーホの白い馬』はこうして生まれた」が開催された。運よく長女の引っ越しで掛川市に訪れていた私には大きな恵みとなりました。展示会場には3000点もの作品関係出店物があり、高い天井からは赤羽さんの遺言ともいえる名言が白い布に書かれていくつも展示されている。「スーホの白い馬」のブースには表紙から最後のページまで原画が絵巻物ように並べられていて、最後の場面、夜空に二重虹がかかりぽつんと小さな白い包が立っているだけの草原・・・つまりこの物語の静かなおわりを迎えた時には、私の頬には涙が伝って流れていました。この感動を小さな子どもたちに伝えなくては!と原画を前に誓いました。

【王さまと九人のきょうだい

おもちのかみさま 札幌在住の絵本作家:かとうまふみ

 ・中国の少数民族イ族の民話。九人の兄弟は顔も体つきもそっくりで、それぞれ不思議な能力を持っていた。意地悪な王様は次々に難問をふっかけてきますが、兄弟が入れ替わりしながら次々とかわしてついには、王さまをやっつけてしまいます。

 

 ・訳:君島 久子郎・絵:赤羽 末吉

・出版社 /岩波書店/ 1969年11月

 

 

 


*めめさんの心のつぶやき*

・私は幼少の頃、当時札幌大通公園近くに所在していた札幌中央図書館の傍に住んでいました。外遊びが大好きだった私は館内で絵本を読むのは時々で、どちらかというと図書館の庭で遊んでいることが多かったと思います。少ない絵本の記憶の中で一番の思い出の絵本はこの黄色の表紙の「王さまと九人のきょうだい」です。とにかく九人の兄弟が次々と王さまが出す難題を打ち破っていくのが不思議に思いつつ、何度も何度も読みました。子ども記憶というのは本当に深く刻まれるんだなぁと自分の絵本体験から感じます。私もちゃんと赤羽さんの絵の洗礼を受けていると思うと嬉しくなります。

おかあさんとお子さんの10月の絵本

【だいくとおにろく】

【10ぱんだ】写真:岩合光昭 分:岩合日出子

・大きな川に橋を掛けようとするする大工とその川に住む鬼のユーモラスなやり取りと、民話のような語り口。日本的な美しい絵とその色彩は子どもの心に彩りを与えることでしょう。会話のテンポと擬声表現の面白さもイチオシです。

 

・再話:松居 直・絵:赤羽 末吉

 出版社/福音館書店 発行日:1967年02月発行

 


*めめさんの心のつぶやき*

・表紙を飾る鬼の憎めない表情が私には印象的です。墨一色のページと色鮮やかなページが交互にお話を進めます。鬼が作った赤い立派な橋が見開きいっぱいに広がったり、ふたりが大きな川を挟んでテンポよくやり取りする様子は、もう子どもでなくても誰でもお話の世界に入り込んでしまいます。赤羽さんが鬼退治のところで悩んだ場面は、消える!ということで一瞬にして問題が解決されたことを小さな子どもでも納得できます。絵だけではなく細部にわたり、読み手の子どもたちのことをいつも考慮して作られたということが、どの作品を読んでも感じられます。

【おへそがえるごん】

【ペンギンがとぶ】ひだのかな代

 ・ボタンのようなものを押すと、口から雲を吐く不思議なかえるのごん。友達になった少年けんとともに、奇妙なおばけや巨大なたこと闘いながらぽんこつ山に向かいます。スピード感のあるストーリーと筆の線の面白さでさらに愉快な世界が子どもたちを惹きつける、創作長編物語三巻のうちの第一巻。

赤羽版鳥獣戯画とも言われる作品。

 

 ・著・絵:赤羽 末吉

 出版社/出版社 /2013年3月


*めめさんの心のつぶやき*

・大学生になった娘にある日尋ねてみました。「かなちゃんの好きだった絵本はなぁに?」と。絵本が大好きだった娘がなんて言うかのドキドキしながら待っていたら、その答えは私が想像していた絵本と全く違っていました。「え?」早々調べてみてもこんな絵本読んでたっけ?と私は思う始末。。。その絵本が「おへそがえるごん」でした。彼女曰く、「ただただ面白くて何度も読んだ。」ということでした。今回、赤羽末吉生誕100年展でこの「おへそがえるごん」のブースに行ってみると「読者の子どもたちに本当に面白いものを見せたいのだ。」と総数348ページの絵本を確固たる意志をもって描いたということを知りました。「いたずらの面白さ」そして「自分たちの力で、自分たちの工夫で問題を解決する子どもの味方になる」そんなメッセージが残されていたそうです。赤羽末吉さん最後の創作絵本でした。

みんなのおすすめコーナー

【つるかめ つるかめ】

【おかあさんはね】文: エイミー・クラウス・ローゼンタール 絵: トム・リヒテンヘルド 訳: 高橋久美子

 ・2018年3月から「みんなのおすすめコーナー」を作りました!このコーナーでは、全国で約1000人の絵本セラピストさんの中から、私が毎月1名の絵本セラピストの仲間に1冊のお勧めの絵本を紹介してもらっています(#^.^#)

 

31回目のゲストは、東京都大田区在住の絵本セラピスト®ありちゃん(有村幸子さん)TK10です。

 

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【つるかめつるかめ】

 不安になったり、怖くなったり、困った時のおまじない絵本。「いたいのいたいのとんでいけ〜」等よく知っているものや地方の珍しいおまじないも集められていて、巻末には、おまじないの言葉の由来が書いてあります。

 

 中脇初江 文 ・あずみ虫 絵
出版社/あすなろ書房

 

 

 

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 < ありちゃんから・・・>

 

これからもきっといろんなことがあるでしょう。そんなとき、どきどきするのも、こわくなるのもあたりまえ。おくびょうで、こわがりでも、だいじょうぶ。という中脇さんによるあとがきにも勇気づけられます。

あずみ虫さんのアルミ板を切って絵を作る技法もステキです。

 

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◆ありちゃん(有村幸子さん)の紹介

 ・絵本セラピスト協会認定ー絵本セラピスト®TK10

 

学童保育の仕事をしています。小さい頃は、泣き虫さっちゃんと呼ばれ、うさぎになりたいと言っていたそうです。

好きな事は、音楽を聴いたり、小さな楽器を集めること。ちょっと鳴らして楽しんでいます♪ごきげんな時はいつの間にか鼻歌が出てしまいます。好きな言葉は、「きっときっとうまくいく🎈」「だいじょうぶ だいじょうぶ」

 

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*めめさんの心のつぶやき*

・今月の全国の絵本セラピストさんは、東京在住のありちゃんです。出会いは、昨年2019年!ティールグリーンさんで、のんちゃんのエホンセラピーが開催された時に参加してご縁を頂きました。ありちゃんは奥ゆかしくてグイグイ前に出ていくタイプではなくて人をほっとさせてくれる存在です。きっと、ありちゃんの絵本セラピーは誰もが居場所を見つけられる優しい絵本セラピーなんだろうなぁ~いつか参加できますように・・・・。ありちゃんのおススメ絵本をたまたま私も購入しました。日本の昔から子どもたちに寄り添ってきた大人は「痛いの痛いの飛んでいけ~」ってやってくれていましたね。日本には色々な お。ま。じ。な。い。があります。あなたはどんなおまじないを使っていますか?

めめさんの絵本の部屋の先月の絵本はこちら
前月の絵本はこちら

ご紹介した絵本は、こちらのえほんやさんで購入できます。

〒006-0808

札幌市手稲区新発寒6条5丁目14-3

☎&FAX 011-695-2120

営業日:金、土、日、月、祝日   営業時間10:00~19:00

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コメント: 1
  • #1

    吉光香 (金曜日, 11 12月 2020 20:43)

    今日の祈り本当に素晴らしいものでした。特にしあわせなあれと出会わせてくれたことに感謝いたします。私は学校は勉強するところと子どもたちに言ってきました�勉強を教えようと頑張っていたもののなんか違ようだと思い始め…でも日々の忙しさにかまけ真剣に考えてきませんでした。コロナ期になり、ちがうと感じせざるおえないことが次々起こり…学校とはどんな場所かあらためて考えています。